読書メモ

・「ズバリわかる!株価チャートの読み方・使い方
(天海 源一郎:著、成美堂出版 \1,200) : 2006.11.25

内容と感想:
 
株価チャートは株価の動きやそれを元に分析・変換したデータなどを時系列に並べたグラフである。 このチャートを使って株価を分析することをテクニカル分析という。 今では新聞だけではなくネットなどでも手軽に見ることが出来る。 よく目にするのは長短の白や黒の棒が上下して宙に浮いて並んでいるグラフだろう。これがローソク足。それに沿うように折れ線が書かれていたりするが、 これが移動平均線(一定期間の株価の平均値の推移)、更に棒グラフがあったりするが、これが出来高(株の売買の量)。 これらがチャート分析の基本のデータとなる。
 チャート分析では過去の値動きから法則性を見出し、パターン化し、相場の流れ(トレンド)をとらえたり、売買タイミング(転換点)をはかったりするのに利用する。 しかし常に株価は法則に従って動いているわけではなく、法則を無視して突然、別の動きをするものである。 ではチャート分析が無意味かというとそうではない。多くの投資家が利用価値があると考えているからこそ 使い続けられていると言えよう。要は儲けるも損するも使い方次第ということになる。
 本書ではそのヒントが書かれている。基本編、応用編、実践編の3部から構成されている。 実践編では先の3つの基本データ以外にもRSIやボリンジャーバンド、一目均衡表など、かつてはプロしか使っていなかった指標なども解説されている。 これらの指標はInfoseekマネーでも無料で見ることが出来る。いい時代だ。
 注意しなければいけないのはチャート分析はあくまでも手法の一つということ。万能ではない。過信は禁物である。 また、本書ではローソク足の組み合わせなどで上げ下げ、売り買いを判断する方法を説いているが、 これらとまったく同じパターンは実際にはなく、無限の組み合わせが存在する。パターンに合わないからといって、 売買の判断を迷っていると投資機会を逸することになるだろう。

○ポイント
・投資家は自分の都合の良い情報から都合のよい予想をするもの
・2本の日足を1本のローソク足に書き換えることでも株価の方向性を判断できる(一つにする本数を増やせば週足になったり月足になったりする)
・移動平均線は平均をとる期間が長ければ、それだけ株価の転換点が現れるのが遅れる
・急騰した株価はその後、急落することも多い
・移動平均線は角度がより緩やかなほうがそれが示すトレンドは信頼度が高い
・出来高は株価上昇(下降)前から徐々に増加する性質がある
・ボックス相場は短期の売買の繰り返しが有効
・グランビルの法則(買いの4法則、売りの4法則)
・エリオット波動理論(上昇5波動、下降3波動)、衝撃波、修正波
・V字や逆V型を描く銘柄は売買が少ない銘柄が多い。ジェットコースターに乗る覚悟
・チャートはしょせん影に過ぎず、その影を作っている実像は企業の価値
・オシレーター系指標:株価の振れの大きさから相場の変化を予測する。保ち合い相場などで逆張りに有効。行き過ぎや反動に注目している。
・トレンド系指標:株価の動きから相場の方向性を確認する
・出来高系指標:出来高を市場のエネルギーとしてとらえ、流れを予測する
・小さなトレンドは大きなトレンドの一部を構成している
・保ち合いや下落局面のほうが期間は長い
・相場の上げ局面では逆張りは通用しない

-目次-
基本編
 第1章 株価の動きを見るなら、やっぱりローソク足!
 第2章 株価の大まかな流れを見るのは移動平均線!
 第3章 市場のエネルギーの度合いを知るのが出来高!
応用編
 第1章 チャート分析に役立つ概念を覚えておこう!
 第2章 この「買いシグナル」に乗れ!
 第3章 儲かる「売りシグナル」を逃すな!
実践編
 第1章 チャート分析にあたっての注意点を心得るべし!
 第2章 ネットトレーディングによるチャート分析を活用すべし!
 第3章 天海流チャート分析で儲けられる投資家になるべし!