読書メモ

・「なぜ、社長のベンツは4ドアなのか? 誰も教えてくれなかった!裏会計学
(小堺 桂悦郎:著、フォレスト出版 \1,200) : 2006.10.29

内容と感想:
 
著者は企業の資金繰りを得意とする会計コンサルタントという。 タイトルに「誰も教えてくれなかった」、「裏」とあるように真っ当な会計の本でないことは明らかだが、 怖いもの見たさで手に取る。表紙には”使える会計”とか”知らないと損”とも。まあ役に立つかどうか別として パラパラっとめくって見ても難しそうな内容ではなさそうだしと、読み始める。
 本書には著者がコンサルで関わった中小企業の社長さんが何人か登場する。資金繰りや節税に頭を捻っている。 見方を変えれば粉飾決算だったり脱税だったりして違法なんじゃない?と思うが、それでも合法的に経営できていけるそうである。 事業がうまくいっていれば資金繰りや節税に頭を悩ますこともないのだろうが、長い景気の低迷が続いていても 日本がなんとかもっているのも、この手の裏技のような会計のカラクリで乗り切ってきた経営者が多いのかも? そんな経営者から見れば本書の内容なんて常識だと言われそうだが、サラリーマンの私から見れば「へーっ」と唸ることが多い内容であった。

○ポイント
・乗用車を減価償却という経費で落とす。車の耐用年数は6年。
・6年で経費になるのなら6年で借りる。金利は支払い利息として経費になる。会社としてローンを組めば借入金でなく未払い金として処理できる。
・減価償却も要らない、維持費もかからないリースなら車もコピー機と同じ賃借料として処理できる
・借金経営が成り立つ条件:現金商売、原価率が低い(在庫負担が小さい)、季節変動がない
・借金が多い状態(債務超過)で決算書が赤字でも、資金繰りさえ何とかすれば倒産しない。金利が払える程度なら銀行も返済は待つ。倒産して元金がパーになるよりまし。
・赤字決算は翌年に繰り越せる。有効期間は7年。黒字になっても500万円までは法人税はかからない
・粉飾:少ない利益(または赤字)を大きく見せて、払わなくてもいい税金を払っている
・法人として生命保険に加入すれば経費として落とすことも可能。定期保険なら節税になるかもしれない
・生命保険の解約返戻金は雑収入で、法人税の対象
・耐用年数と借り入れ年数を同じにするのが借り入れでする設備投資の理想
・土地購入費は経費にならない
・ゴルフ会員権も経費で落ちる

-目次-
第1章 なぜ、社長のベンツは、中古の四ドアなのか?―「経費」の話
第2章 なぜ、年商の四倍の借金のある旅館が潰れないのか?―「資金繰り」と「決算書」の話
第3章 なぜ、イケイケの会社が倒産してしまうのか?―「資金繰り」と「決算書」の話 その二
第4章 なぜ、借金社長は税金を払いたがるのか?―「粉飾決算」の話
第5章 なぜ、ラブホテル経営者は税金を払わないのか?―「税金」と「税務署」の話
第6章 なぜ、社長は生命保険が好きなのか?―「経費」の話 その二
第7章 なぜ、社長は失敗しても投資し続けるのか?―「投資」と「設備投資」の話