読書メモ

・「座右の諭吉 〜才能より決断
(齋藤孝:著、光文社新書 \700) : 2005.08.14

内容と感想:
 
座右のゲーテ」に続く「座右」シリーズ第二弾。福沢諭吉の名前や顔(一万円札)は知っている人は多いと思うが、 いったいこの人物がどのような功績があったかを正しく知る人はどれくらいいるだろう。 そういう私もほとんど知らない(「学問のすすめ」を書いたことくらいか)。 その諭吉の著書「福翁自伝」を話の種に、生きるヒントを読み取っていこうとした本。
 諭吉は江戸時代末期の下級武士であったが、明治維新という激動の時代の波を乗り越え、 明治になってからは官僚などではなく、ビジネスマンとして身を立てた。 果たして諭吉がいったいどんな人物だったかを知るには、著者が彼をどのように評しているかを読むと分かる。 実に出来た人だというのが印象だ。若くして悟りの境地に至ったかのように思える。 それは特に精神性の高さに対する数多くの表現から感じられる。 諭吉は自分自身で「精神がカラリと晴れた」と表している。無駄なことに悩まない、ためらいがない、負い目がない、遠慮がない、 喜怒哀楽に振り回されない、自分の欲望に忠実、独立自尊、主体性、誉められて嬉しくもなく、悪く言われても怖くもなく、無頓着、 などなど。。

印象的な言葉:
・エネルギーを浪費しない、エネルギーを向ける対象をコントロール
・物事を舐めてかかることから生まれるパワーもある
・人間に対する普遍的な信頼
・読書は技化するものと、情報収集用の二種類
・情報を吸収し、それを放射していく運動体になる
・人生や仕事は複線化できる
・学び続ける能力で食べていく
・リスクには敏感で、細かなことには動じない
・雑事を厭わない軽やかさ
・根気よく勉めて迷わぬものが勝つ

-目次-
T 独立の章
U 修行の章
V 出世の章
W 事業の章
X 処世の章