読書メモ

・「スラムダンクな友情論
(齋藤孝:著、文春文庫 \505) : 2005.11.27

内容と感想:
 
”スラムダンク”はかつて少年ジャンプで連載されていたバスケットボールがテーマの漫画だ。 実はこの漫画の名を知ったのは著者の別の著作の中だった。連載が始まった頃、既に私は漫画雑誌を 全く読まなくなっていたから。しかし著者の影響から無性に読みたくなり全巻揃えてしまったほどだ。
 本書は”友情論”とあるようにどちらかといえば若者向けである。ちょっと青臭い内容と思われても仕方ないが、 大人になる前にこの本に触れておけば考えさせられることも多いだろう。 特にスラムダンクだけを題材にしているわけではないが、漫画や映画を通して「友情という関係」が学べる、としている。 「はじめに」で書いているように著者は本書を「どうしても書かねばならぬ」と思っていたそうだ。
 一番印象に残ったのは最後の章で「一人の人間が関わった人間関係がクリエイティブであることで社会全体のクリエイティブな時間が増えて」いくというもの。 日本全体が元気がなくなって来たのは、こういう関係性が減退していることによるのではないか?

印象的な言葉:
・自己肯定、出会い、志、緊張感、得意技、癖、真似、反復練習、信頼、息が合う
・友情は「張り」のあるクリエイティブな関係
・なれ合わない距離感
・一番いいところを知っているのが友情
・言葉にしなくても意図を察知し合う関係
・眠っていた力を引き出し合う
・自分で自分を何と言いたいか。自分はこれなんだ!自分が存在していい理由
・何かが自分の中で一貫して続いている感覚。自分の生きる道
・不安と疲労と緊張の極にあると人間は弱い
・不安の中で自分ときっちり向かい合う経験
・一人で道を切り開く先行者の孤独
・長いこと、僕の中にいてくれてありがとう。言葉を贈る。
・かけがえのない時間
・古典とは長い間、繰り返しに耐え、新しい意味や感動を生み出してきたもの
・言葉を練る、ハラを練る
・技をハイレベルに磨き上げ続け、結果に責任をもつ
・恐さを感じ続け、自分を緊張させることで、自分をサビつかせない。新鮮でいられる

-目次-
第一章 張り合いのない相手じゃ、力が出せない!
第二章 友情は、「アイデンティティ」を目覚めさせる
第三章 友情は、向上心を刺激し合う関係だ
第四章 友情は、「あこがれにあこがれる」関係だ
第五章 友情は、技とスタイルを磨く
第六章 友情の関係を祝うとき