読書メモ
・「あの戦争は何だったのか 〜大人のための歴史教科書」
(保阪正康:著、新潮新書 \720) : 2005.10.15
内容と感想:
日本の降伏によって第二次世界大戦が終結して丁度、今年で60年になる。
人間で言えば還暦である。
高齢化が進んでいるとは言え、戦前・戦中を知る人は確実に減っている。体験した人それぞれに、それぞれの戦争体験がある。
勿論、私は戦後さえ知らない(いつまでが戦後というのかは不明だが)。
副題に「歴史教科書」とあるが、少し前の歴史教科書問題が思い出される。
戦後の歴史教科書が自虐史観だと批判して、「新しい歴史教科書をつくる会」が歴史教科書を
作ったことは記憶に新しい。こちらの方々は右寄りの人たちだが、著者に言わせればそれは感情論で歴史を見ているに過ぎない。
では、太平洋戦争はなぜ始めなければならなかったのか?「はじめに」で国策を追う限りそれは不可避だったと言う。
本書では「あの戦争」が善いとか悪いとかいった単純な二元論で語るのではなく、その意味と問題の本質を見出す試みをしている。
教科書のように事実を並べるだけでは本質は掴めないと思っている。
あの戦争で310万人もの日本人が死んでいることをちゃんと見据えなければならない。
きちんと歴史を知っておかないと将来への展望も開けないだろう。
さて、小泉首相が郵政民営化法案が参院で否決されて衆院を解散し、総選挙に打って出て、
自民党が圧勝した。その後、召集された国会では数に物を言わせて、
否決された法案が修正されることもなく、あっと言う間に可決された。
つい最近の話だ(10/14)。郵政民営化は時代の流れとしても、よく耳にするのが、
圧勝した自民党による暴走を心配する声だ。第九条を初めとする憲法改正の流れが加速するのではないかという
不安があるのだろう。
現在は、日本が太平洋戦争を始めた頃とは状況が全然違うが、・・・・
しかし戦時中の全体主義的な危うさが、いまだに日本人の遺伝子にはあるように思えてならない。
そして毎年毎年繰り返される首相の靖国参拝問題。その都度、外交上よろしくない状態になるのだが、
何かよい解決策はないものだろうか?忘れっぽい日本人に対して中国や韓国が批難してくれるのは、
ある意味でよい効果(抑止力として)があるのかも知れないが。
-目次-
第一章 旧日本軍のメカニズム
第二章 開戦に至るまでのターニングポイント
第三章 快進撃から泥沼へ
第四章 敗戦へ - 「負け方」の研究
第五章 八月十五日は「終戦記念日」ではない - 戦後の日本
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