読書メモ
・「実践!日本語ドリル」
(齋藤孝:著、宝島社 \1,048) : 2005.05.08
内容と感想:
本書で著者は”日本語力”というものは、「基本構文力」、「要約力」、「言葉の時間感覚」、「図化・文章化の往復運動」、
「モードチェンジ力」だと定義している。この本ではこれらが各章の見出しになっている。
著者の著書を読んでいれば既に何度も説かれている内容とも言えるが、この本の題を見ても分かるように、
本書の特徴はそれぞれの章に読者の日本語力を試す練習問題がついていること。
そしてそれらに対する解説があって、おまけとして珍解答や名解答が付いている。
「はじめに」では既に「大人の日本語力が危うい」と言っている。子供の学力低下を心配している場合ではない。
大人がキチンとした日本語を話せないのでは、この国の行く末は非常に危うい。
キーワードは(日本語の)「ねじれ」。面白かったのは第四章。文章を図化したり、その逆に図を文章化したり。
言葉を構造的に把握するわけである。最近、図解や「図で考える」というコンセプトが注目されているようだが、
これもそれと共通する。
「言葉の時間感覚」というのは限られた時間にどれだけの情報を詰め込むか、ということ。著者がよく言う意味の含有率につながる。
自分が話していることがどれくらい時間をかけているか、またはこれから話すことにどれくらいの時間を要するものなのか、
そうした感覚を磨くことで、プレゼンなどにも活かせるし、コミュニケーションの向上にも役立つというのだ。
また、「モードチェンジ」というのは話す相手や場所などによってモードを変えよう、ということ。
これは相手を話やすくしたり、相手を聞く気にさせる能力に関係してくる。
相手との距離感を測らなければ失礼になったり、理解してもらえなかったりする。
さて、本書は「ドリル」とあるが、真の練習帳ではない。真の日本語力を身につけるには、貪欲な学習・訓練が必要だろう。
それはただ本を読むだけでなく、日頃のコミュニケーションにおける心がけ一つでもレベルアップしていくのではないだろうか。
-目次-
第一章 基本構文力
第二章 要約力
第三章 言葉の時間感覚
第四章 図化・文章化の往復運動
第五章 モードチェンジ力
最終章 真の日本語力とは何か?
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