読書メモ

・「問題な日本語
(北原保雄:編、大修館書店 \840) : 2005.12.23

内容と感想:
 
日本語が乱れている、とよく言われる。多分、昔から言われてきたことだろうと想像される。 なぜなら言葉は時代とともに変化していくものだから。
 何かおかしい、違和感がある、と感じる言葉が 次第に一般的に使われ、認められ(許され?)、定着し、耳に馴染んでいくことがある。 その逆に淘汰され、忘れ去られるものもあるだろう(死語と言われるような)。
 本書の表紙帯に”大反響!60万部突破!”とあるのが示すように、そんな今の日本でも多くの人が日常、 日本語の乱れや違和感を感じているようなのだ。 特に気になるのは”バイト言葉”といわれるようなファーストフード、コンビニ、ファミレス、などの バイト店員が使うマニュアル言葉だ。マニュアルに本当に書かれているのかは見たことがないから よくわからないが、日本全国で拡大中のようだ。表紙にイラスト付きで書かれている「こちらきつねうどんになります」などは最たるもの。 「コーヒーのほうをお持ちしました」のような表現もよく耳にする。
 編者は「明鏡国語辞典」(大修館書店)の編者でもあり、日頃から過去・現在の日本語と向き合っておられる。 本書ではその編者が”へんな日本語”をひとつひとつを誤用かどうかを指摘し、その誤用の背景まで解説している。 私も正しいと思っていた言葉が実は明らかな誤用だったり、微妙な(ビミョー、も流行中だ)線だったりして、 とても面白かった。しかしほとんどの誤用は私の認識どおりだったし、納得がいくものであり安心した。
 それにしても「すごいおいしい」の”すごい”の用法には問題ない、というのには驚いた。 また、(食べれる、のような)ラ抜き言葉ならぬ、(食べれる、のような)レ入れ言葉なるものも現れているらしい。

○ポイント
・「ビール」など”お”の使いすぎは、かえって品位をなくす
・「おざなり」と「なおざり」は全く別の意味
・読み仮名の書き方には本則と許容がある。例)”稲妻”は”稲”と”妻”の二語に分解できないため「いなずま」が本則(「いなづま」ではワープロも変換してくれない!)
・サ入れ言葉:例)「読ませていただきます」(誤用ではないらしい)。「危なそうな仕事」、「自信なげ」は標準的でない。
・テレビにおける用字法のチェック体制は新聞ほどには充実していない