読書メモ
・「IP電話でわかる最新ネットワーク技術」
(米田心文:著、森井昌克:監修、翔泳社 \2,000) : 2005.11.23
内容と感想:
VoIP技術の登場でNTTが独占していた国内固定電話網が徐々にIPネットワーク通信事業者に侵食され始めた。
ブロードバンド通信の発展でさらに加速している。以前にもガス会社や電力会社、ケーブルTV業者が独自に保有する専用線や光ファイバー網などで電話サービスを
提供する例はあったが、それらはアナログ通信だったり、ISDNベースだったりとインターネットとの接続性はなかった。
電話がIPベースとなることで世界が一気に広がる。ブロードバンド通信が定額制が当たり前となり、世界中でいつでもどこでも誰とでも低コストでコミュニケーションが可能となる。
これは革命である。
本書ではそのVoIP技術の説明と同時に、IP電話が創る新しい世界を説いている。
しかし既存の電話網を一気に置き換えるには課題がまだ多い。
・既存のIPデータ通信網と共用できることがメリットでもあるが一方で、音声通信の品質保証のため優先順位をどうするか
・IP電話のDNSサーバに相当するENUM(電話番号とIPアドレスの関連付け)の運営母体をそうするか、DNSとの整合性
・メーカー間の相互接続性
・盗聴などセキュリティ
IP電話といえばライブドアとスカイプの提携で話題となった「Skype」というものがある。無料インターネット電話という衝撃的なサービスだ。
この「Skype」だが実は本書で解説しているVoIP技術ではなく、P2P(peer to peer)技術を使っている。パソコンがあることが条件であるが、
多くのユーザを掴んでいる。
また最近では、米eBay(オークション・サイト最大手)が9/12日に、ルクセンブルグのSkype Technologiesを買収することで合意したそうである。
更に、11/9には総務省はソフトバンク、イー・アクセス、アイピーモバイルの3社に対して携帯電話事業への参入を認可した。IP携帯電話もそろそろ登場しそうである。
無線LAN技術とIP電話技術の融合で携帯電話も定額制の時代が来るかも知れない。
ポイント:
・VoIP: 音声符号化、呼制御、ユーザ情報交換技術などから成る。IETFが標準化を進めているのは、SIP(呼制御)、H.248/MEGACO(接続情報交換)。
・構成要素: VoIPゲートウェイ、ゲートキーパー(H.323)、SIPプロキシ、メディアゲートウェイコントローラ(MEGACO)、メディアゲートウェイ(MEGACO)、シグナリングゲートウェイ(MEGACO)、ENUMサーバ
・IP電話識別番号: 050
・音声パケットを送るプロトコルはRTP。TCPではなくUDPを使う。
・音声品質はVoIPゲートウェイ性能が左右する。SLA、QoS
・IP電話はインターネットサービスのキラーアプリケーション
-目次-
第1章 「顔の見えるビジネス」って何だろ?
第2章 IP電話の誕生と歴史
第3章 IP電話のメカニズム
第4章 IP電話の導入
第5章 IP電話が創る新しい世界
第6章 製品、サービス、技術動向
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