読書メモ

・「働く気持ちに火をつける
(齋藤孝:著、文芸春秋 \1,200) : 2005.06.19

内容と感想:
 
 著者が作った「働く呪文」が「ミッション、パッション、ハイテンション」。仕事がつまらない、だるい、すぐ疲れる、といったときに、 この呪文を唱えるのだという。この呪文で働く気持ちに火をつけるのである。
 3つの単語が韻を踏んでいるので覚えやすい(本当に職場で叫ぶかどうかは別の話)。
それぞれの単語が意味するのは(だいたい想像はつくが)、
1.ミッション:出会ったものに触発されて、自分の使命へ高める(使命感)
2.パッション:ネガティブ体験を情熱へ反転させる
3.ハイテンション:ハイテンションな身体でポジションをゲット(上機嫌)

 著者は今でこそTVに雑誌に引っ張りダコで、著作も次々に出すほどの大車輪ぶりだが、若い頃は不遇な時代を過ごしたことを 告白している。不遇なときもあきらめずに自分に課せられたミッションを忘れず、パッションを持ち続けたことで、 現在の好循環に転化したのだろう。その成功体験をもとに書かれたものが本書である。
 正直なところ私は楽しく仕事をしていると実感できたことがあまり多くない。つまらないと思うことも多々ある。 しかし心が折れずに、なんとか仕事を続けてこれらたのは、自分なりに「働く気持ちに火をつけ」られて来たからだろう。
 でもどちらかといえば、いつもテンションは低いほうだ。他人の心まで火をつけるパッションに欠けると自覚している(課題である)。
 本書は上司にも、部下社員にも読んでもらいたい本である。 特に新人社員は読んだほうがいい。
 やりたいことがあるが、最初からやりたい仕事ができるとは限らない。または、やりたい仕事が明確でないかもしれない。 「現実の仕事を少しずつ本当にやりたいことに近づけていくこと」で道が開ける、というのは現実的で、よいと感じた。

印象的な言葉:
・社会の中で他社に働きかけていける技を持っていることが真の自由(自由とは束縛がないことではない)
・豊かな経験による判断の正しさの連続が功を奏する
・忙しい人ほど仕事が速い。仕事は忙しい人に頼め
・仕事の自動化できる部分を増やす。職人的に無意識でやれる。機械的にできる部分が増えると、次の状況を予測する余裕が生まれる
・会社は元気を必要としている。ベテラン社員たちは疲れている⇒新人に期待
・働く気持ちの火は(職場におけるコミュニケーションでの)細やかなレスポンスの中で生まれる

-目次-
T ミッション感覚を呼び覚ます
@ミッション感覚で着火する
Aミッションを分かち合う
Bミッションを支える職人気質

U 不愉快な体験をパワーに変えるパッション力
@漱石に学ぶパッション力
Aパッションを技にする
B反転する力

V ハイテンションでポジションを獲得する
@仕事の原則
Aポジションゲットの具体的作戦
B仕事を祝祭にする