読書メモ

・「図解仕事人
(久恒啓一:著、光文社新書 \680) : 2005.05.01

内容と感想:
 
第1章では一サラリーマンであった著者が大学教授に転身するまでの道のりを振り返る。30才で「自分は大した男ではない、ごく平凡な能力の持ち主に過ぎない。(略)凡才らしく地道に生きるほかにない。」 と腹をくくったそうである。「自分の足元を掘ること」でようやく仕事に真正面から取り組めるようになったそうだ。
 また著者には尊敬する上司の存在が大きかったようである。その上司の真似をし、お手本としたそうである。
 「仮想師匠、仮想ライバル」などという単語も出てくる。問題解決に当たって、彼らならどうしたか、と自問自答するらしい。
 第2章が本書の本題であるが、ご存知のように著者は「図解」で有名な方。ビジネスで必要なのはコミュニケーション能力に尽きると言い切る。
 この能力は理解力、企画力、伝達力の3つで構成されている。この3つのバランスによっては、「情報収集特化型」ビジネスマンや「饒舌」ビジネスマンなど偏ったタイプが いるようである。
 さて、図解の利点であるが、「文章は”ごまかしが利く”」が逆に図ではそうはいかないという点。「理解が速く、そして深い」。 理解力を深めるために著者は文章を読むときに「図読」というものを提案している。要は文章の内容を図化して頭に定着させる、というもの。 その他、図解によって企画力、伝達力を高める方法についても提案している。
 第3章では少し趣きが変わって、時間管理について語っている。P.F.ドラッカーによれば「マネジメントを行う人々の重要な資質とは、自らを管理できること」だそうである。 自分自身を管理できずに他人を管理できるわけはないのだ。また「セルフマネジメントは、自らの資源である時間をコントロールすることが基本」だそうである。 従って、セルフマネジメントはタイムマネジメント、ということになる。時間は有限である。
 また、自分の能力を補うためにも時間を味方につけるべきだとも言う。考えることに時間を使う、考えるための時間を増やすようにすべきなのだ。 本書はビジネスマンの先輩の助言として、図解だけに限らず、仕事の上で役立つ内容であった。

-目次-
第1章 凡才、仕事師になる
第2章 図解仕事人への道
第3章 時間仕事人になる