読書メモ
・「14歳からの哲学 〜考えるための教科書」
(池田晶子:著、トランスビュー \1,200) : 2005.12.25
内容と感想:
何のために人は生まれ、生きるのだろうか?人生の意味・目的、それは誰しも感じる疑問だろう。その不思議な感じ。
そのようなことを考える営みが哲学という学問だ。
既に14歳だった時代から20年以上も経過してしまった私。”哲学”的なことに少しは興味があるが、
立ち止まってじっくり”考える”ことをしてこなかったように思う。生きていくための日々の雑事に追われ、欲に任せた行動などによって時間だけは過ぎていく。 題に”14歳”とあるが決してティーンエイジャーだけをターゲットにしたものではない。
書き方は若い人たちに語るような語り口になっているが、内容の質は高い。
本書で読者が共に”考える”ことは、昔から長く人類が考え続けてきたことであり、人類共通の(自分の)「存在の謎」だからである。
「あとがき」にもあるが、副題にある”教科書”のような感じではない。決して何かの答えが書いてあるわけではない(正解はないのだから)。
解答がない分、読後のすっきり感がないのだが、改めて自分の人生、生き方を見直すきっかけにはなったと思う。
著者は哲学の専門家である。
本書で”考える”テーマはたくさんある(全部で30)。一部を挙げると、考える、言葉、死、、体、心、他人、家族、社会、規則、などなど。
「26 宗教」で存在の謎について、謎の答えに当たるものが「神」と呼ぶべきものではないか、というのが非常に印象的であった。
これは古い宗教への批判でもある。
印象的な言葉:
・正しく考える。「正しい」とは誰にとっても正しいこと。
・言葉こそが現実を作っている。言葉の不思議
・生死の不思議。死、無、ない、とはどういうことなのか
・身体は最も身近な自然である。身体は自分の思うようになると思い勝ちだ
・心と身体は別物ではなく、同じものの表裏
・感情は感じるもの(動いて変わる部分)、精神は考えるもの(動きも変わりもしない部分)
・観念が現実を作っている。時代、社会の動きとは「観念の動き」
・目に見えるものに捉われず、見えないものを捉える
・自由は自分の内側にしかない。捉われのない精神。思い込みから自分を解放した精神
・社会を一番深いところで動かしているのは「理想」、「理念」
・(何事も)楽しめるのなら、それは才能
・卑怯は精神の死。最も卑しいこと
・古典、変わることなく残ってきた言葉。考える人類が長い時間をかけて見抜いた本物
・「よい悪い」(善悪)は相対的なものではなく絶対的なもの。善悪の基準を自分の外(道徳や法律のような)に求めることの間違い
・「信じる」のは考えていないから。考えて、気付けば救いとしての神を求めることもない
・「ありがとう」(有り難う)とは奇跡の感情、存在への驚き
・悪を為さずに善を為し、よりよくなろうと学ぶことが、人生の意味。
・人は思うことで思った通りにすることができる
-目次-
T 14歳からの哲学[A]
U 14歳からの哲学[B]
V 17歳からの哲学
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