読書メモ
・「専門医がやさしく教える うつ病」
(水島広子:著、 \1,300、PHP研究所) : 2003.11.15
内容と感想:
日本では近年、年間の自殺者が3万人を越える年が連続するなど、深刻な社会問題となっている。
自殺の理由や年代は様々だと思うが、彼らを死へ向かわせるのは、その人の心であり、そのときの精神状態に非常に関係がある。いろんな理由から生に対して絶望的になり自ら命を絶つ。
実は私の身近な人が2人も自殺で世を去っていることは、他人には言いにくいことの一つである。そんなこともあって、人間を死の淵へ陥れる「心」というものに関心があった。口にしたことはないが、家族は十分に彼らをサポート出来ていたのか?そういう精神状態であることに気付いていたか?周囲がしっかりしていたら自殺を防げたのではないか?かといって残された人を責めることも出来ない。私だったら何ができただろうか?自問自答する。当時の私には重大事件であったが、私の理解では原因は”ノイローゼ”であったが、死者を前にしては原因は想像するしかない。
本書の題名にもある「うつ病」は心の病気であり、深刻な場合は自殺に結びつきかねない病であるが、一般の人々の理解はどうであろうか?私もこの病気に対する正しい知識を持っていたとはいえず、かねてから知りたいと思っていたものの一つであった。「誰もが罹りえるありふれた病気」と冒頭に書かれているように、特殊なものでもなく、かといって安心していられるものでもない。
日常でも憂鬱だなと感じることは多いと思う。例えば月曜の朝であったり、雨や雪の朝の通勤時間であったり、仕事に気が乗らない、仕事に問題を抱えている、意欲が沸かないなど。
長時間の勤務が連続して心身に疲労、ストレスが蓄積してきたりすると「うつ病」になる要素ともなりうる。
著者は精神科医であり、民主党所属の衆院議員でもある(著者のホームページ)。私よりも若い!
本書は図表が多く理解しやすい。
第1章 うつ病とは、どんな病気か知っていますか
第2章 知っておきたい、うつ病とストレスの関係
第3章 うつ病になったときの心がまえと注意したいこと
第4章 よい医師の選び方と、薬物療法の基礎知識
第5章 うつ病治療のカギともいえる「対人関係療法」
第6章 偏った考え方のパターンを直す「認知療法」
第7章 再発を防ぐために実行したい9つのポイント
・うつ病に罹った場合、本人はうつ病と自覚しない
・うつ病患者を励ましてはいけない
・うつ病患者をサポートするための周囲の人間の大切さ
・治っても再発させないために必要なこと
・うつ病に罹らないための日常からの心のもち方
など、学ぶことが多い。
うつ病に罹らないためにはストレス管理が必要だし、上手くストレスと付き合えるかどうかが、境目と言えよう。人間関係や仕事上のトラブルなどストレスの原因は様々。如何にしてストレスを解消できるか?
最近では不況によるリストラ、超過残業、過労死なども問題になってきている。
経営者や管理者は従業員や部下の仕事の管理だけでなく、心身の健康管理にも気を付けなければならない。上司も人間であるから同様の問題(それ以上かも)を抱えることも十分にありえる。お互い苦労は増える一方だ。難しい問題だが、家族や友人、地域、企業、社会全体のサポート体制が求められる。
NHK番組ではないが「心の時代」といわれるように、メンタルヘルス、カウンセリング、というのが最近の私の最大の興味の一つである。
更新日: 03/11/22
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