読書メモ

・「ネットコミュニティビジネス入門
(松岡裕典、市川昌浩、竹田茂:編、 \2,800、日経BP社) : 2003.09.21

内容と感想:
 
ブロードバンドの急速な普及でかつてネット後進国だった日本も、いつの間にか世界一のブロードバンド人口を抱えるようになった。インターネットの定額制・常時接続は当たり前となり、ISPはとにかく顧客数を確保しようと値下げ競争に走り、あとは体力勝負という消耗戦を呈している。全国民がインターネットに触れられるようになった今、果たしてネットは人々の要求を満足するものだったか?うまく使えば有効なツールなのだが、つまらない・下らないものも溢れ、混沌としている世界に突然飛び込んできた人々はきっと戸惑っているに違いない。そんな無秩序なネットをビジネスに結び付けたいと思う人は世界中にいる。ネットの未知の可能性に宝捜しのような期待をもつ者も多いだろう。
 既にインターネットを活用したビジネスは数多く存在する。インターネットバンク、ネット証券、ネット・トレーディング、ネット・ショッピング、etc。ネットをビジネスに取り込んだ多くの会社が一時期もてはやされ、ネット・バブルなる現象も起きた。熱病といもいえるブームは去ったが、インフラの整備は日本でもまだ拡大中。ビジネスの可能性がなくなったわけではない。
 さて、情報収集のためのWebブラウズと、Eメールの送受信がインターネット利用のほとんどを占めると思われるが、メールを初めとするコミュニケーションツールとしての利用は携帯電話と同じかそれ以上のものがあるだろう(最近のケータイではメールも出来るが)。
 電子掲示板は手軽に書き込めて、多くの人に読んでもらい意見を聞けるというのが受けて、いろんなサイトで運用されている。様々な”板”が立ち、興味がある人々が勝手きままに訪れる。技術的には古いものであるが、そこに集まる人々のコミュニティをビジネスに生かせないかという発想が新しい。本書は掲示板を初めとするツールをコミュニティビジネスに活用し、収益を得ようとする人々にヒントを与えてくれる。

-目次-
第一章 ネットコミュニティのトレンドと実態
第二章 コミュニティを解剖する
第三章 コミュニティビジネスを成功させる30の設計レシピ
第四章 コミュニティの現場から

 インターネット技術の進歩で日々、コミュニケーションの手段も進化し続けている。掲示板、チャット、メーリリングリスト、インスタントメッセンジャー、etc。勿論、技術も大事で、これまで不可能だったことを可能にし、社会に革命的な変化をもたらすこともある。しかしコミュニティビジネスに活用していくには、ただそれだけでは駄目で、ユーザが何を求めているかをしっかり掴まなければならない。今やケータイとモバイルPCの境界が曖昧になりつつあり、ワイヤレスで、いつでもどこでも(電話やネットに)”つながる”環境が出来つつある。これはコミュニケーションやビジネスのあり方を大きく変えていくだろう。

更新日: 03/09/22