読書メモ
・「龍馬の謎<徹底検証>」
(加来耕三:著、 \733、講談社文庫) : 2003.10.31
内容と感想:
歴史上の人物の人気ランキング1位は坂本龍馬だとか。序章で著者が指摘するように、現代日本人が持つ坂本龍馬のイメージは、やはり司馬遼太郎の「竜馬がゆく」のそれだろう。私も学生の頃、読んだ司馬氏の”竜馬”が彼そのものであると素直に思い込んでいた。
本書の中で著者は史実を検証し、龍馬の虚像を壊す試みを行っている。
龍馬の人気の理由はどこにあるのか?そんなことには本書では触れていないのだが、私なりに分析すれば、一下級武士でありながら(庶民に近い、親近感が持てる)、日本の大転換期において、東奔西走して、幕府と反幕府勢力に分裂状態にあった日本を、諸外国列強による植民地化から救った活躍ぶり、土佐藩を脱藩し江戸に向かい、勝海舟門下生となり航海術等を学び、世界に目を向けた自由奔放さ、などが憧れを抱かせるのだろう。暗殺され、明治維新の日を迎えずしてこの世を去ったことも、悲劇のヒーローとして伝説化される所以でもあろう。
序章 創られた「龍馬」伝説
第一章 龍馬にいたる「坂本家」の謎
第二章 龍馬の幼少年期にいたる謎
第三章 龍馬とナポレオンを結ぶ謎
第四章 ペリー来航にまるわる謎
第五章 ”坂龍飛騰”の背景に隠された謎
第六章 尊皇攘夷の謎
第七章 神戸海軍伝習所にまるわる謎
第八章 薩長連合に関する謎
終章 坂本龍馬が目指したもの
私なりに新発見と言えるのは、龍馬の剣術の腕前はそれほどでもなかったということ。彼が写真や銅像などで左手を隠している理由。彼の死後の妻・お竜のその後。また、ナポレオンの名前が出て来たのは意外であった。
近年の日本も戦国時代や幕末のような混沌とした時代に例えられるが、そういう時代だからこそ龍馬や信長のようなヒーロー待望論が出てくるのであろう。
さて、衆院選が公示されて(10/29)、選挙戦が始まった。果たして2大政党時代はやってくるのか?マスコミ報道だけ見ていれば、小泉対菅(直人)の対決色だけが目立つような気がするが、問題は国民がどれだけこの選挙に関心があるのか?という点である。国を変えたいなら自分で考えて行動(投票)しなければいけない。(選挙だけで国が変わるとは思えないが)他人任せで、文句だけ言っていては駄目。天国で龍馬もきっと、そう言っているはずである。
更新日: 03/11/01
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