読書メモ
・「声に出して読みたい日本語2」
(斎藤孝:著、 \1,300、草思社) : 2003.03.29
内容と感想:
前作「声に出して読みたい日本語」はベストセラーとなり、これに気をよくした(?)著者・出版社が第2巻を早くも出した。とはいえ、まだ前作は読んではいないのだが、構成的には本巻は前作の構成を踏襲したものらしい。いったい、どんな日本語が登場するのか?日本語という多彩な言語空間の広がりを感じられたらと期待を持って読む。
本書では昔、学校の国語の教科書に出て来たようなものから歌舞伎の台詞など、出典は多彩である。題名にあるように朗読を目的としていることもあり、引用した文章はみな大きな活字になっている。そういえば声に出して教科書を読んだのはいつの頃までであっただろうか。声に出すと分かる、名文のリズムや響き。といっても結局、全部黙読してしまった私。
著者は私塾「斎藤メソッド」という体と心の健康法(?)を生み出した方で、そのメソッドの中に朗誦を取り入れているとのことである。
声に出すことは、体にも心にもよいらしいということは何となくではあるが感じていた。ホッ、と溜め息をつくだけでも力が抜けて、多少リラックスしたりするし、鬱憤やストレスが溜まっていても、解決にならなくてもいいから兎に角、他人に話しを聞いてもらうとかするだけで気が楽になったり・・・。スポーツでも腹から声を張り上げると、気力がみなぎる。
声に出すだけでもエネルギーを消費するから、手軽なエクササイズにもなる。
本書の意図が健康法にもあったことは、読後に知ったことであったが、本書の帯に書かれた「心地よい文章、面白い言葉」に出会うことができた。本来は数多く本を読めば、出会えるものであろうが、闇雲に読み漁ってもなかなか名文に辿り着くものでもない(そんな時間はない。人生は短い)。本書は名文を紹介してくれるし、ほんの一部しか引用されていないから、原文を全部読みたいという気にもさせてくれる。
私が聞いていて「心地よい」なと感じる文章は、やはり歌舞伎役者のテンポのいい台詞だ。本書でも引用されている、「白浪五人男」の台詞は役者が喋るのを聞くのがいい。聞いていても意味がよく分からない部分が多いが、七五調のリズムが心地よいのだ。それだけでもよい。歌舞伎は楽しければいい!
さて話はそれるが、私が「日本語の力」(または言葉の力)を感じたのはTVで見た「詩のボクシング」である。この大会は何度か開かれているらしいが、対戦者が詩を朗読し、審査員の心を動かしたものが勝利するというもの。詩の内容も大事だが、読む人の表現力も加味される。短時間で勝負がつくし、(素人の)出場者の個性も表れて非常に面白い。へたな歌手の歌を聴くよりは心を揺さぶられる。最近、見たものでは詩とも言語ともいえない、掟破りの擬音、ノイズを発する?ような言葉を越えた参戦者もいて方向性が広がったが、少なくともこの大会に私の期待しているものとはずれていた。今後の展開に期待したい。
更新日: 03/03/29
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