読書メモ
・「ロボット21世紀」
(瀬名秀明・著、 \860、文春新書) : 2001.09.10
内容と感想:
「パラサイトイブ」で一世を風靡した作者がロボット研究の最前線をレポート。氏が書いたと知っていたわけではなく、たまたま手に取った本が瀬名秀明の手によるものだっただけ。小説家の視点では現状がどのように見えるのか興味があって購入。
本書を読み終えた日、タイミングよくソニーがAIBOの第三世代機の発売を発表。機能アップして価格も10万円を切った。店頭にも並ぶそうで、ソニーのエンターテインメント・ロボットはしっかり商業ベースに乗ったようだ。成功したといってもいい。なにもロボット開発はAIBOのようなエンターテインメント向けばかりではないが、この現実を他の研究者たちはどう見ているだろうか。最新の技術を応用し、消費者の心を刺激するものを作るという点でソニーはうまいと私は素直に感じる。
私のロボットに対する興味は、何かに役に立つとかというよりはソニーの狙う玩具的要素の方にある。が、本書で著者がインタビューしている研究者たちの興味はなにもエンターテインメントだけでなく、みなそれぞれ異なる手法で思うようにやっている。
先に読んだ「ロボットだって恋をする」と重なる部分もあったが、取り上げていなかった話題もあり、それなりに面白かった。
目次を載せておく。
第1章:ロボットが街を歩く日
第2章:二一世紀型ヒューマノイド
第3章:機械に「心」は宿るか
第4章:ロボットとの恋は可能か
第5章:ロボットは労働する
第6章:羽ばたくロボット・コンテスト
第7章:日本人と鉄腕アトムの夢
第8章:ロボットの未来
読後、ふと考えたのだがクローン人間の研究や製造(誕生?)は各国で法律で禁止されているらしいが、将来人間そっくりのロボットが出現するようだと法整備も必要になってくるのだろうなと。技術の進歩で外見も中身も限りなく人間に近い(それ以上かも)ものがきっと出現するだろうから。そのとき初めて人間は人間って何?と改めて考えさせられるだろう。存在意義すら危ういと感じるのだろうか?
それはそうと、ロボットが福祉分野でも期待されていると書かれていたが、しゃべったり踊ったりしないまでも人の疲れを癒してくれるという意味では、既にこの世にあるマッサージチェアもロボットと言ってもいいのでは?究極的にはマッサージ機のような肉体的な疲れだけでなく、精神も癒してくれるような”精神療養士+按摩さん”型ロボットみたいなものも出来てくるなだろうな。
更新日: 01/09/11
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