読書メモ
・「法華経を生きる」
(石原慎太郎・著、 \1,600、幻冬舎) : 2001.12.24
内容と感想:
現都知事の石原氏が知事になる以前に月刊プレジデントという雑誌に連載していたもの。
氏の著作は一度も読んだことがなかったが、氏と仏教との意外な関係にふと手にとり購入してしまった(実は1年くらい”積んどく”状態であった)。普段から仏教に多少は興味をもっているが、なかなか経典を読むまでには至らないのが現実。入門書的なものが我々一般人には必要なのだ。そういう意味では本書は私にとっては丁度よい企画のものであった。
知事になってからも過激な言動が物議をかもす氏であるが、意外にも若い頃から仏教と関わりが深かった。学生時代の父の急死、弟・裕次郎の死、多くの宗教家との対話、氏自身が目の当たりにした不思議な体験など数多くのエピソードを交え、真に釈迦が説きたかったのは何かを平易に解き明かしてくれる。
仏教はこの世で最も優れた宗教だ、人間のみが優れた生物だ、とかいう記述が多少鼻につくが、基本的に氏の法華経の解釈や、現代宗教界への問題意識など共感できることのほうが多い。
読後、氏への見方を改めさせられた。私にも偏見があったのは確かだ。ちなみに都知事選では彼には投票していない(彼以外に投票したことだけは確かだが、誰だったか今では思い出せない)が、本書を読む以前から氏の都知事ぶりは応援している。青島前知事なんかよりは全然いい。
アメリカの同時多発テロとアフガンでのテロとの戦いや、イスラエルでの自爆テロと報復の繰り返しなどをTVを通じて毎日見せられると、新しい世紀を迎えても絶えることのない対立に、改めて宗教とは何かを考えさせられる昨今である。宗教に優劣はないと信じるが、間違った宗旨の理解はたいへん危険であるのは確かだ。神の名の下の戦いなど、神には迷惑な話であろう。
目次:
序章 私と法華経
第一章 誰も哲学せずにいられない
第二章 「十如是」とは何か
第三章 わが身の周りに起こったことの理
第四章 生きている死者
第五章 信仰への鍵
第六章 宇宙と人間
第七章 人間が生きて在る、ということはそも何なのか
第八章 時間とはいったい何なのか
第九章 釈迦が示した人間としての極限最高の境地とは
第十章 仏性への道
第十一章 「実相」とは何なのか
第十二章 人間は永遠なのだ
更新日: 01/12/25
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