読書メモ
・集英社文庫「武豊の瞬間」(島田明宏・著 \514、集英社)
きっかけ:
馬券の師匠・dobsalad師にお借りしました!
はじめに:
各章の見出しに武豊が跨った馬たちの名前が添えられ、その馬たちと関わった数々の「武豊の瞬間」が綴られた一冊。
武豊は言わずと知れた、日本のトップジョッキー。日本だけじゃない、世界のG1も勝っているから、今や世界の”ユタカ”だ。競馬界の革命児、プリンス、など代名詞は数知れず。若くして数々の記録を塗り替え、今後もまだまだその記録を伸ばしていくだろう。
1969.03.15生まれというから、学年でいうと私の2つ下。各界を眺めても同世代で最も活躍している人物の一人。今はやりの言い方をすれば”カリスマ”である。最近の”カリスマ”は身近なプチ・カリスマといったような使い方をするようだが、彼は本来の意味で、カリスマと言っていいだろう。
しかし、馬券となると話は別。確かに彼の勝率、連対率の高さは群を抜く。うまいから当然強い馬が回ってくる。人気馬に乗ったら配当は低い。私にとっては武豊を切るか切らないかが、勝負である。元来、へそ曲がりの私は人気馬を外すことが多い。従って、彼(の乗る馬)が一番人気になると、勝っても仕方ないなと思いながらも、切ってしまう!切らないまでも本命にはしない。押さえまで。
彼の強さは人気馬を当然勝たせるが、人気がない馬でも勝たせてしまう所にあると私は思う。確かに騎乗数も人一倍多いが、勝率の高さがそれを物語る。
内容:
筆者はいつも武豊と一緒に生活してるんじゃないかと思うくらい、我々の知らない武豊を描き出している。その一つは、競馬場やTVで見る武豊はインタビューなどではちゃんと標準語で話すが、本の中の彼の会話はほとんど関西弁だ。
私が競馬に興味を持つようになったのは社会人になってからだから、1991年くらいからだろうか?91年といえば、秋の天皇賞で武騎乗のメジロマックイーンが先頭ゴールインしながら進路妨害で降着になった年だ。彼の名前を知ったのも多分この頃だろう。前年暮れのオグリキャップでの有馬記念は伝説的だが、私は人の話やビデオでしか知らない。'87年デビューだから、その頃僅か4年で既にトップジョッキーの一人となっていた。私はどこでこの降着劇を見ていたか、記憶はないが、武豊自信、このレースを最大の失敗だと認識しているらしい。
本人をして会心の騎乗と言わしめた'93年・桜花賞のベガ、スキーパラダイスで海外初G1制覇や、シーキングザパールで日本調教馬として海外初G1制覇など世界での活躍、妻との出合い、先輩・後輩、馬主や厩舎関係者との触れ合いなど読みどころはたっぷり。
印象に残ったのは、彼自信が「武豊」ファンであり、ファンとしてずっと好きでいられる人間でありたいと思っている、という点。人間的に醜悪なイメージがつくのを嫌うというのだ。成功した人物はその頂点で尊大になり、過ちを犯し転落していくという話はいろんな世界でよく聞く。私もそんな彼の姿は見たくない。これからも同様の活躍をしてもらいたいと思う。何年後かに、また別なドラマを読みたいもの。
最後に、馬券の相性がよくないのを今後の私の課題として十分検討していきたい。
更新日: 00/01/22
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