猫 日 和





昔々、ある所に、忍者と忍者の卵がおりました。



乱ちゃんは小さな忍者の卵です。
優秀な忍者の利吉さんが立派な忍者にしようと、
いっしょうけんめい育ててくれています。
けれど、小さな乱ちゃんは失敗ばかりです。
今日も習練をしていて、川に落ちてしまいました。
森の中では木の根っこにつまづいてしまいました。
高い塀の上からも落ちてしまいました。
隠れんぼをしても、すぐに見つかってしまいます。
乱ちゃんが失敗しても、利吉さんはちっとも叱りません。
それどころか、
「乱はまだ小さいのだから仕方のないことだよ」
と、優しくなぐさめてくれるのです。
でも、乱ちゃんは、もっともっとちゃーんと、
失敗しないで習練について行きたいと思っていました。



そこで、乱ちゃんは、朝に夕にお祈りをしました。
「明日にはもっと高く飛べますように」
「明日にはもっと早く走れますように」
「明日にはもっと遠くまで見えますように」
「明日にはもっと上手に隠れられますように」
「明日にはもっと静かに歩けますように」
そうして、いっしょうけんめいに習練をしました。



ある朝、目を覚ますと、乱ちゃんの耳が猫の耳になっていました。
乱ちゃんは困ってしまって、利吉さんに見せました。
「利吉さん、私の耳が猫の耳になっちゃったんです」
「じゃあ、音が良く聞こえるようになったんだね」
利吉さんはそう言って、優しく耳を撫でてくれました。
なるほど。確かに音が良く聞こえます。
それから、二人は習練をしました。



またある朝、目を覚ますと、今度はおしりにしっぽが生えていました。
すんなりと長くてまっすぐな、ステキなしっぽです。
乱ちゃんはとても恥ずかしかったのですが、利吉さんに見せました。
「利吉さん、今度はしっぽが生えちゃいました」
「それじゃあ、上手につりあいがとれるようになったんだね」
利吉さんはそう言って、優しくしっぽをくすぐります。
なるほど。確かにしっぽを使うと身体のつりあいが取りやすいのです。
それから、二人は習練をしました。



またある朝、乱ちゃんが目を覚ますと、世界はやけに明るいのでした。
でも、明るいのにもすぐに慣れました。
乱ちゃんが利吉さんの所に行くと、利吉さんは乱ちゃんの顔をじっと見つめました。
「今朝はよく見えるみたいだね」
「なんだかとっても明るいんです」
「夜になっても明るいはずだよ」
利吉さんはそう言うと、口唇でまぶたに軽く触れました。
それから、二人は習練をしました。



耳が生えて、しっぽが生えて、世界が明るくなると、乱ちゃんは習練で失敗することがなくなりました。
もう、川に落ちてしまうこともありません。
森の中で木の根っこにつまづいて転んだりもしなくなりました。
高い塀の上でも、上手につりあいをとって歩いたり走ったりできます。
隠れんぼをしても、すぐにはみつからなくなりました。
もう、利吉さんといっしょに飛んだり走ったりできるのです。
乱ちゃんは小さくても立派な忍者になりました。
それから、二人は習練ではなく、忍者のお仕事をしました。





おしまい。



                              TEXT:利太郎様   
【利】
222のカウント(掲示板)、踏まれたので、
私は神様ではないけれど、『何か』差し上げます(笑)
にゃんにゃんにゃんなので、猫のお話です。
気に入って頂けると良いのですが…///


【犬】
ねこみみ支店経由で、ほんわか便が届きましたよvvわーいv
あんな我が儘を聞き届けてもらえるなんて!いっとくもんですね!(←コラ)
利太様のトコの利吉君ってすごーく乱ちゃんに幸せにして貰ってる感じがして
本当に羨ましいのです。乱ちゃんより利吉さんのが幸せ度は上ですよね。絶対。
いいなあ、ねこみみ乱ちゃん。
一緒にお昼寝とかしたらきっと喉ゴロゴロ鳴らしてくれるんですよ!
いいなあいいなあ。(真性ですみません。)
利太郎様。カウンタご褒美。堪能させてくださってありがとうです。
(返す愛すら、不器用な私に…!!!)


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